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男性不妊に関するコラム

第1回:不妊とは?
年齢と治療法についての男女の差異

日本では、通常に夫婦生活を行っているにもかかわらず、2年以上経過しても妊娠が成立しない場合、不妊症を疑い、専門施設における検査と治療を推奨しています(※)。これは、生殖機能の正常な男女においては、1年以内に90%が妊娠するというデータに基づいています。 
(※)アメリカ生殖医学会では「ある一定期間」を1年とし、国際産科婦人科連合では2年としている。

不妊という状態は、結果です。原因ではありません。例えばカキによる食あたりの場合、原因はカキであり、食あたりは結果です。以下では、不妊の原因について考えます。 
原因が単一であり、その治療法が確立している疾患は、対象患者をまとめて治療できます。それに対して、不妊は非常に複雑です。不妊の原因は、男女とも多岐にわたり、男性側、女性側に数百の原因が考えられます。

1) まず年齢について

女性には年齢の壁があるということは厳然たる事実です。平均的には、35歳を境に妊娠率は大きく低下します。但し、35歳というのはあくまで平均値であって、個人差は当然あります。 
一方、男性は年齢の壁はあまりないと言えます。加齢とともに勃起能力は低下しますが、バイアグラ等に代表される勃起不全治療薬があるためその対処は可能です。

2) 男女双方にある不妊原因

近年は、男性側に不妊原因があるいわゆる「男性不妊」に対する理解が広まってきているとはいえ、不妊症とはおもに女性側の問題であるとのイメージがまだまだ強いというのも、また事実です。妊娠という現象は男性の精子と女性の卵子が結びつくことによって成立する事象です。そのような事象について、女性側にだけ原因があるということはありえません。 
男性側女性側それぞれに数百の不妊原因が存在します。また、男女どちらか一方のみに一つの原因があるだけならよいのですが、それが組み合わされるケースも多くあるのです。単純計算で、組合せのパターンは数万パターン以上になります。 
世界保健機構(WHO)が不妊症の原因調査を実施したところ、次のような結果が出ました。すなわち、不妊のカップルが100組いたとすると、男性にのみ不妊原因があるカップルは24組、女性にのみ不妊原因があるカップルは41組、男女ともに不妊原因があるカップルは24組、原因不明が11組という割合になります。男性の不妊原因とは、例えば、染色体異常、精索静脈瘤、勃起障害などがあります(なお、当院の高度精子検査で発見される不妊原因は第3回のコラムで詳しく紹介します)。つまり、100組中、実に48組のカップルにおいて男性に何らかの不妊原因があり、不妊症とはおもに女性側の問題であるとのイメージが間違っていることが明らかになりました。

3)不妊原因に対する治療法・診断法

不妊原因が判明した場合の対処法ですが、これも男女に違いがあります。 
女性の不妊原因に対する治療方法は、かなり多くの原因に対して確立されている状況にあります。すなわち、不妊原因が特定されれば、治療によって改善することが期待されます。 
一方、男性不妊の原因に対する治療法は、女性側に比べて確立されているとは言い難い状況です。治療による改善が期待される不妊原因もありますが、治療法が確立されていない不妊原因が多くあるのも事実といえます。また、不妊原因の特定のための診断法についても発展途上の状況です。

  年齢の制約 不妊治療法
女 性 平均的に35歳を境に妊娠率は大きく低下 比較的確立されている
男 性 加齢とともに勃起能力は低下するものの、バイアグラ等の対処法あり 診断法、対処法ともにまだまだ発展途上

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