第6回:安全性への姿勢
不妊治療のゴールとは何でしょうか。
- 妊娠反応が出ること?
- 出生?
- 出生した児が元気に一生を過ごすこと?
私どもは、3番目、すなわち出生した児が元気に一生を過ごすことが不妊治療のゴールであると考えています。
妊娠反応が出ること、すなわち妊娠率を追求するあまり、治療の安全性を犠牲にするなどということがあってはなりません。
例えば「妊娠率○○%!」のように高い妊娠率をアピールする施設もあるかと思いますが、妊娠率というのはそこで扱っている患者によって大きく上下します。不妊原因は男女それぞれにあり、治療し難さ、治療に伴うリスクもそれぞれ異なるのです。
また、通常に夫婦生活を行った結果として妊娠する場合、すなわち自然妊娠の場合でも15-20%は流産します。不妊治療を行った結果妊娠した場合でも、30-70%は流産します。すなわち、妊娠反応は一里塚であって、全員が赤ちゃんを抱けるとは限らないのです。さらに、無理な不妊治療をすればするほど、父母に薬の副作用などが出る場合も多くなり、出生した赤ちゃんに異常が出てしまうという場合もあります。
また、日本とオーストラリアにおける疫学調査が実施され、顕微受精は先天異常率が高いとのレポートもなされています。
重要なのは、妊娠率、流産率及び安全性のバランスを考えることです。そのためには、男性側の精子の質を含めた状態を把握することがまずは必要であり、さらに質のよい精子を選別することが妊娠率向上、流産率低下及び先天異常率の低下につながるのです。