女性の不妊原因とは

男性と女性が出会い、結婚して、夫婦になり、子供ができる。
なんだか当たり前の話のようですが、ひとつの家庭ができ、子供ができるまでの道のりは人によって様々だと思います。 「子供が欲しい」と思っても、なかなかできない・・・という事は現実として多くあります。
日本は晩婚化が進んでいます。そのため、不妊に悩む夫婦は年々増えているのが現状です。
不妊症と聞くと、「女性が原因でしょ」というイメージがあるかもしれませんが、現実は違います。 不妊には、男性側と女性側の原因があります。今回は、女性の不妊の原因について知っていきましょう。
目次
女性側の不妊原因とは
女性の不妊原因は、たくさんあり複雑
月経周期がきちんとしているか? 卵胞が育っているか? 排卵がきちんと起こっているか? 子宮に病気がないか? 年齢に問題がないか? どこかに問題がある場合、妊娠しない・・という事が起こります。
検査や治療を重ねても、「原因が分からない・・・」という事もあります。

不妊症の原因には大きく分けて、「排卵障害」 「卵管障害」 「着床障害」 「子宮頸管障害」などが考えられます。
さらに、このような障害は、年齢が上がるにつれて起こる可能性が高くなります。女性の身体は卵子の質と卵巣機能が、年齢を重ねるごとに低下していきます。
妊娠しない原因はひとつではありません。原因が複雑に重なりあっている可能性があります。
卵管に問題がある
卵子の通り道である 「卵管」 が、途中で詰まってしまったり、細くなってしまっている場合があります。
「卵管」は卵巣から放出された卵子を子宮に運ぶ「細い管」のことです。子宮の左右両側にあります。直径はかなり細く1mm未満しかありません。

この卵管がつまっていたり、炎症をおこしていると、「卵子」が待つ位置に、精子がたどり着けません。
卵子がうまく卵管に取り込まれないという障害などが発生します。 クラミジアや子宮内膜症、腹膣内の炎症などが原因とされています。
もっとも多いのが「クラミジア」です。クラミジアにかかってしまうと、「子宮頸管炎」「子宮内膜炎」「卵管炎」などを発症してしまいます。
「卵管」に障害があると、精子と卵子がうまく出会うことができません・・・
排卵に問題がある
排卵がなかなか起こりにくい場合を 「排卵障害」 と呼びます。 「排卵障害」は女性の不妊原因の3割にあたります。「排卵」とは、一個の「卵胞」が成長して、成熟し、やがて卵膜を破った卵子が卵巣の外に飛び出すことを「排卵」といいます。

排卵するためには、脳の「下垂体」という部分から分泌される「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体形成ホルモン(LH)」がバランスよく分泌されることが大切です。
この機能に異常がある場合、排卵障害がおこってしまいます・・・
卵子がうまく「排卵」され、うまく精子と結びつかなければ、女性は妊娠をすることができません。
「排胞」 がうまく育たない原因には、卵巣機能に問題がある場合と、脳の視床下部や下垂体に問題がある場合があります。
子宮内膜症
健康な女性でも、約10人に1人の割合で、「子宮内膜症」になると言われています。
「子宮内膜」が子宮以外の場所で増殖してしまう病気です。非常に重い生理痛になったりします。
通常は子宮の中にしか増殖しない子宮内膜の組織が、腸や膀胱(ぼうこう)、卵巣(らんそう)など子宮とは違う場所で増殖してしてしまう病気です。
実は、「子宮内膜症」は原因がまだわかっていません・・・原因として一番有力な仮説は「子宮内膜移植説」です。生理の回数が昔よりも増えたので、「子宮内膜症」になりやすくなった、という説もあります。
今の女性は、初めて生理がくる年齢が昔より早くなっています。栄養が昔よりも豊富になったことが原因のようです。さらに、女性が子供を産む人数が減ったためと言われています。
子供を産むと女性は生理が一時的に止まります。現代の女性は子供を産む人数が少ないので、生理が止まっている期間が少ない現状にあります。すると「子宮内膜症」になるリスクが増えていきます。
「子宮内膜症」は生理の回数が多くなるにつれて、症状が悪化していきます。
日常のストレスや偏った栄養バランスなども影響すると言われていますので、「子宮内膜症」かな?と思ったら普段の生活も見直すようにしてみましょう。
卵管閉塞とは
なんらかの原因で卵管が詰まってしまうことがあります。 これを「卵管閉塞」と言います。この「卵管閉塞」は自覚症状がないため、検査を受けなければわかりません・・・
卵管は精子と、卵子が出会う場所です。つまり、この「卵管」が閉じてしまうと、子供を生むことができません。
卵管とは卵巣から、子宮に伸びる長さ10cmの「管」の事です。

卵管を検査するには、「子宮卵管造影検査」をします。
卵管の詰まりをチェックする方法としては造影剤以外にも通水検査、通気検査があります。
【通水検査とは】
抗生物質を含んだ生理食塩水を子宮に注入し、入った水の量で卵管の詰まりや、通り具合を検査します。
【通気検査とは】
カテーテルをつかって、子宮内に炭酸ガスを入れます。炭酸ガスを入れながら卵管が通っているかどうか聴診器でガスの音を確認し、 子宮内の圧力を測定して検査をします。(現在はほとんど行われていません)
どんな不妊治療があるのか
大きく3種類の治療方法がある
女性側の不妊治療には、まず、タイミング療法があります。タイミング療法は、比較的負担がすくない不妊治療です。このタイミング療法を6~12回ほど試してみて、妊娠しない場合には、人工的な技術を使うのが一般的です。
人工的な技術として大きく分けて、3種類の治療方法があります。 「人工授精」「体外受精」「顕微授精」です。
人工授精・・・精子を子宮に送り込む方法です。

体外受精・・・体外に取り出した卵子に精子をふりかける。その後、精子が自力で卵子に侵入して受精するための環境をととのえる。培養液のなかで受精させてから、子宮に戻す方法。
顕微授精・・・体外に卵子をとりだして、顕微鏡をつかって、とても細いガラス針で人為的に1匹の精子を注入。授精させてから、子宮に戻す技術のことです。
現在では、顕微授精が約80%を占めていると言われています。
一般的には、体外受精で子供ができない場合、顕微授精をするようにススメられます。
精子の状態によっては、人工授精や体外受精をやらずに、いきなり顕微授精をすすめられる場合があります。
顕微授精は一回50万円以上するような高額な治療になりますので、ある程度高齢で不妊治療を始める場合には、高度精子検査や精索静脈瘤の有無を調べる検査をすることをおススメします。
検査の結果をもとに医師と相談することで、遠回りせず、勝算のみこめる不妊治療を選んで、効率的かつ経済的な治療を受けることが可能になります。