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秋葉原駅昭和通り口徒歩4分
良好精子の選別
妊娠のプロセスには、自然妊娠・人工受精・体外受精・顕微授精の4通りあります。一般的に体外受精や顕微授精は精子がだめでも治療が成功(妊娠)しうると受け止められていますが、それは誤りです。上の4通りは届けられ方が違うだけで、妊娠が成立するのは、卵子が要求する理想をかなえた優れた精子(能力のある精子)が卵子と合体した時だけです。卵子にこの点での妥協はありません。
そのうちの体外受精は、婦人科で卵巣から卵子を取り出し、お皿の上に置いて、それに精子をふりかけて、受精を試みる手法です。
したがいまして、体外受精の成功のカギは、卵子の相手がつとまる優れた良好な精子が提供できるかにかかっています。
そのための検査として
① 良好な精子が存在しているか否かを検索する精子検査を行なう。
② 結果、ある一定度以上存在しているならば、それを選別して卵子に届ける。
③ 結果、存在している割合が小さい、または存在していない場合は、それを増やすための精子以外の検査・治療を行なう。
高精度精子検査Aコース | 高精度精子検査Bコース | |
料金 |
55,000円(税込み) |
165,000円(税込み) |
対象者 |
・「選別精子(良好精子)がどのくらいの量採れるのか」を知りたい人 ・ご自身の精子のエリート集団がどの程度の質を保持しているのかを知りたい方 ・これから人工授精を検討している人 |
・「選別精子(良好精子)がどのくらい採れるのか」のみならず、DNA構造異常、先体局在、ミトコンドリア局在、耐凍性など、すべての検査指標について、状態を把握したい人 ・選別精子のバンキング(冷凍保管)を検討している人 ・体外受精にステップアップをする前に、現状の精子の質で成功する可能性がどの程度あるのかを見極めたい人 ・体外受精等の生殖補助医療で、望んだ結果が出ていない人 |
射精精液中の精子群から、極力、良好精子のみを選り分ける(選別する)検査です。選別後の精子がどの程度存在するのかを数値データとして把握できます。具体的には選別後の総精子数、運動率です。
この段階で、結果が非常に良好なら、「人工受精が可能」と判断されることがありますので、このAコースは人工受精を中心に考えておられるカップルにもお勧めです。射精精液中の精子結果をと選別後の精子を比較してみると、前者が良かったのに後者が悪かった(この場合は身体診察である一般へ)、あるいはその逆もあります。
このAコースの結果から次のBコースへと進みます。
高精度精子解析検査Bコースは、高精度精子検査Aコース得られた精子(選別精子)の実力評価です。卵子が要求している要素7項目を調べます。
この検査は、当クリニックでの究極の検査であり、体外受精を前提にした検査です。
「DNA断片化検査」「耐凍能」「先体反応誘起能」「ミトコンドリア局在」「精子頭部細胞膜検査」「頭部空胞検査」「精子尾部形態検査」の7項目です。
DNAは「生命の設計図」と言われる通り、ベビーが成立するための最も重要な検査です。
射精精液中には、DNAが切れた精子(DNA損傷精子)が混じっているのが普通です。精子のDNA二重鎖切断陰性率(DNAが切れていない=つながっている精子)の割合を測定するものです。60~80%が正常の目安になります。
単一ヒト細胞(精子一匹)に由来するDNA fiberを断片化する高度な技術を使用し、ています
2.耐凍能検査(凍結→解凍に耐える能力)
精子が凍結保存に耐える能力があるのか?を検査します。解凍後の精子生存率を算出します。この割合が一定水準を超えていれば、質の良い精子を凍結保存することができるわけです。この凍結保存を複数回行なえば、多くの凍結保存精子が確保されることになり、採卵当日に心強い精子のバックアップが用意できることになります。
当院ではこれまで技術的に難しかった冷凍精子の保存技術を新しく開発し、解凍した時に高い精子生存率を確保がすることが可能になりました。
3.先体反応誘起能
精子の卵侵入に必要な能力である「先体反応誘起能」、すなわち受精する能力の程度を把握する検査です。精子が卵子に突入する際に精子の先体部分から酵素を放出することにより、卵細胞膜を破り受精に至ります。この酵素を放出する能力を確認します。
精子濃度(精子数)や運動率が正常であっても、この能力が低い場合があります。これでは、体外受精に適合しない(卵に侵入できない)可能性があります。
本検査では、先体反応誘起能を有する精子の割合を算出します。50%が正常の目安になります。
また特殊な試薬と蛍光顕微鏡を用いて先体部分を染色して、可視化します。
4.ミトコンドリア局在
ミトコンドリアは、精子の中片(首の部分)に存在します。精子運動のエネルギー供給を担っている、いわばエンジンです。
ミトコンドリアに緑色蛍光物質を取り込ませ、エネルギー産生能と中片の形状を観察します。未成熟な精子はこの中片部の形が成熟精子と異なる場合が多く、精子成熟性の検査としても有用です。また非運動精子には蛍光物質が取り込まれないため、精子の運動能の指標としても有用です。
5.頭部細胞膜検査
精子頭部には、プロタミンという蛋白と結合した状態で圧縮されたDNAが収納されています。DNAは頭部細胞膜の直下に存在するため、ここに損傷があると、DNAも傷ついている可能性があります。この検査は1の「DNA断片化検査」と組み合わせて、精子が正常かどうかの判定を行なう最も重要な検査です。
6.頭部空胞検査
プロタミンとDNAの結合に不具合(精子形成不全)があると、精子頭部外周形状に異常をきたし、また頭部に空胞が出現します。精子を高度に選別しても、特に空胞のある精子を排除することは困難です。体外受精・顕微授精の反復不成功例では、頭部に空胞のある精子が多く存在することが知られています。この検査で精子がうまく造られているかがわかり、結果として体外受精・顕微授精の反復不成功の原因究明のひとつになります。
7.頭部・尾部形態検査
これまでは、精子の頭部の形が楕円形であれば、「精子の形は正常」とされてきましたが、頭部だけでなく尾部(尻尾)の形も、受精に重要な意味を持つことがわかってきました。卵子は「精子の尻尾の形」にまで理想がある、というわけです。この検査では「頭部は赤に」「尾部は青色に」染め分けて、詳細に観察します。
当院では、この7項目が全部揃った精子を卵子の理想をかなえた精子と考えています。この精子群が一定以上確保できることが確認されたら、これをレディースクリニック(産婦人科)で採卵された卵子に届けるサービスを行なっています。当然、卵子にとって理想的な精子群ですので、体外受精の成功率は上がりますし、問題要素が少ない精子群なので、流産率は下がります。これこそが、体外受精の成功率を高める最大にして唯一の秘訣なのです。精子の届け先として提携している施設、協力いただける医療機関が多数(主として首都圏)ございますので、ご相談ください。
『精子の質の低下』を高品質な精子を選別する技術で補う
“良好精子バンキングサービス”
1.原則的に2~5日の禁欲期間をおいて精液を提出願います。当院では、鍵がかかり、使用ごとにアルコール消毒で清潔が保持された採精室を使用できます。
2.当院の中で採精が難しい方は、自宅など院外で採取して、持参する方法もあります。(採取後60分以内に持参が条件です。)
3.Aコースによって選別された時点で、精子数が非常に少ない、あるいは運動率が非常に低い場合は、Bコースの7項目の検査できないことがあります。
4.上記3の状態は、体外受精のために届ける精子が、足りない、全く揃わない、ということを意味しますので、このような場合は、一旦体外受精を見合わせて、体の内部の精査、つまり精子が造られるプロセスを調べる一般検査(血液、尿、精巣のエコー検査)へ進むことをお勧めします。
受精能力のある精子(卵子の相手がつとまる精子)は射精精子全体の中の一握りの精子です。土の中の砂金のようなものです。「精子なんてたくさんいるんだから、何回かの行為で精子のどれかが、卵子にたどりつけば妊娠するんじゃないか。」と思いがちですが、そうではなく「一握りのエリート精子のために、ダメもとで大量の精子を提供している。」という解釈が正しいのです。
精子は一握りの勝者を決めるトーナメントを毎回繰り広げていることになります。実力に運も必要です。卵子の立場から言えば、高いクオリティの赤ちゃんをこの世にもたらすというミッションを達成するためには、一握りのエリート精子とだけ受精を成立させるということになります。つまり妥協のない精子選別を体内で行っているのです。
したがって普通に妊娠することがそもそも奇跡的な事象なのです。
男性不妊に対する正しい知識を身に着けて早期の妊娠を目指しましょう。
監修医師 中條 弘隆 |
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エス・セットクリニック院長 男性不妊外来を担当 精子精密検査ができる国内初の男性不妊専門医院であるエス・セットクリニックが2012年に開院した当初より参画し、 延べ8000人以上の男性不妊診療に従事してきた。 日本泌尿器科学会専門医。
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