男性不妊の漢方外来

短い診療時間の中で、効率的に、問診、虚実の把握、腹診などの指標で診断を行い、最適な漢方薬を処方します。

※受診者のほぼ全員が対象になります。

  • 受診者の精神的・肉体的ベストバランスを漢方治療で果たし、妊孕性(にんようせい;妊娠のしやすさ)の向上をはかります。
  • 年齢の高い方に対しては、 アンチエイジング的に処方します。
  • 精索静脈瘤、慢性前立腺炎などの方に対しては治療薬として処方します。
  • 当クリニック医師陣が開発したサプリメント等とうまく併用し、精子の根本的な改善を目指します。

治療の流れ

男性不妊初診セットの受診をされる場合、下記のような流れとなります。

男性不妊検査の診察の過程で、問診・腹診により診断を行い、精子検査結果を踏まえて、漢方薬を処方します。精子の改善を目的とするため、ドクターズサプリメント(AQ10やカルニチン、長命草)を併用することが多いです。

問診

記入いただいた問診票に基づき、医師が現在の症状の確認及び検査の説明を行います

視診・触診・超音波(エコー)検査

精巣、精巣上体、精管、前立腺等の検査を行います。特に男性不妊の方の約4割にある原因といわれる精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)の有無を精査します。

腹診

腹診は、漢方独特の診察方法で、漢方薬の適応条件を探索する診察法です。

診察台に横になっていいただき、全身を脱力させた状態で、医師の手掌を用いて腹部を触診します。

採尿・採血

採尿により炎症の有無、採血により精子形成に関連するホルモン6種の検査を行います。

処方

問診・腹診による診断結果に基づき、漢方薬を処方します。(処方は原則院外処方になります)


男性不妊漢方外来の問診

問診票に加えて、下記の項目等を聞き取りします

  • 暑がりで汗かきですか
  • 寒がりですか
  • 過労・睡眠不足はありますか
  • 精神的ストレスはありますか
  • 座っている時間が長いですか
  • 運動不足はありますか
  • 尿の勢い、近さ、キレの悪さがありますか

虚実の把握(体質の違いを見極めます)

患者さんごとの体質の違いを見極めます。

「虚弱な体質(虚証)」と「頑健な体質(実証)」を両極に置いて個別に傾向を判定します。

虚証、実証を見極め、バランスを取るための漢方薬を処方します。

虚証

消化吸収機能が弱く、栄養状態不良で、生命反応の予備力低い、治癒機転に働こうとするエネルギーが不足している状態

実証

消化吸収機能が強く、栄養状態は良好あるいは過剰で、生命反応の予備力が高い、身体のエネルギーが豊富あるいは有り余っている状態(必ずしも健康的ではない)

虚実の鑑別

 虚証実証
体格きゃしゃがっしり
体系やせ型または水太り小太り
栄養状態不良で皮下脂肪が薄い良好で皮下脂肪が厚い
活動性疲れやすく消極的疲れにくく積極的
皮膚乾いてたるんでいるつやと張りがある
筋肉弾力がない弾力がある
か細い力強い
寝汗よくかくかかない
食事量少ない多い
過食すぐ満腹になる平気
空腹耐えられない平気
冷たい飲み物飲食胃腸の調子を崩しやすい平気
食後の眠気・倦怠あるない
便通うさぎのふん状または軟便・下痢太くて硬い便
便秘の時平気不快になる
腹部の所見虚証実証
肋骨弓鋭角鈍角
腹力腹壁が薄く弾力がない腹壁が厚く弾力がある
胸脇苦満弱い強い
胃部振水音あるない
腹部動悸あるない

腹診

腹診は、漢方独特の診察方法で、漢方薬の適応条件を探索する診察法です

腹部には、体質を反映する所見があらわれるため、腹部の緊張の状態やどこに抵抗感等があるかを確認し、診断していきます。

診察台に手足を伸展して仰臥させ、全身を脱力させた状態で、医師の手掌を用いて触診します。

腹力(腹診した際の腹壁の緊張度)や胸脇苦満(腹部の膨満、腹鳴などを手で圧して診る)等の重要な症候をもとに、漢方薬の選択を行う指標とします。

腹証の鑑別


処方例(院外処方※院内で処方しておりません)

身体的な疲労が著明な場合

実証

8 大柴胡湯(だいさいことう)
  • 「体力低下」ではなく「オーバーワークで過労」というタイプ
  • 強いストレスがあるが精神神経症状は著明ではない
  • 筋肉質でがっちりした体型
  • 耳鳴り、めまい、肩こり、高血圧、便秘、肝機能障害
  • メタボリックシンドローム
  • EDにも有効
  • 腹証は著明な胸脇苦満

虚証ー1

41 補中益気湯(ほちゅうえきとう)
  • 疲労と食欲不振で体力低下・全身倦怠というタイプ
  • 消耗性疾患・化学療法による体力低下、るいそう(栄養失調のような状態)
  • 肉体的な疲労が中心の方に
  • 内臓下垂、EDにも有効
  • 腹証は軽度の胸脇苦満
  • 「男性不妊症の定番」というべき方剤

虚証ー2

48 十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
  • 体力低下・全身倦怠がさらに増悪しているタイプ
  • 貧血、皮膚の乾燥を伴う
  • 補中益気湯が無効な例に

虚証ー3

108 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
  • 48十全大補湯と対象は似るが、さらに虚弱な例に
  • 咳嗽、健忘、動悸、不眠、不安が加わる
  • 体力低下、性的意欲、精液所見の改善を目指す

精神的な疲労が著明な場合

実証

12 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • オーバーワークによる強いストレスで、イライラ、不眠、動悸のあるタイプ
  • 筋肉質でがっちりした体型
  • 高血圧、慢性腎炎、EDにも有効
  • 腹証は著明な胸脇苦満
  • 「漢方の精神安定剤」

虚証

26 桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 疲労と食欲不振で体力低下・全身倦怠というタイプ
  • 消耗性疾患・化学療法による体力低下、るいそう(栄養失調のような状態)
  • 肉体的な疲労→精神的な不調という方に
  • 内臓下垂、EDにも有効
  • 腹証は軽度の胸脇苦満

年齢的な衰えが主因の場合

腎虚(じんきょ)

漢方でいう「腎」とは、生命力・活力を貯蔵する場所とされ、その衰えは現代医学的には加齢現象と理解させることもあります。「腎」には、発育を促進したり、生殖機能や若々しさを維持する生命エネルギーのもととなる「精(せい)」が蓄えられていますが、それが不足すると「腎虚(じんきょ)」という状態となり、不妊の原因となります。 

端的には「老化」のことです。

腎虚を補う補腎剤ー1
7 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 疲「腎虚」の症状に対しての代表的処方
  • 体を温める生薬をメインに、8種類の生薬で構成
  • 『ハルンケア』として処方することは多い
腎虚を補う補腎剤ー2
107 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
  • 八味地黄丸に牛膝と車前子を加えたもの全体に衰えが進んだ例に

慢性前立腺炎に対する漢方治療例(院外処方)

114 柴苓湯(さいれいとう)
  • 小柴胡湯と五苓散の合方(消炎と利尿)
  • リストアイテム2膿精液、前立腺液圧出にて膿尿が認められる方に処方します
  • 抗生剤と併用します
  • 消炎作用により精子奇形率の改善も期待します
  • 柴胡のステロイド様作用により、自己免疫性の抗精子抗体のコントロールにも有用と考えています
25 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 精液、前立腺液に膿性変化なく、炎症が軽い方に処方します
  • 運動不足、座りすぎによる骨盤内うっ血が主因と考えられる方

精索静脈瘤に対する漢方治療例(院外処方)

柴桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 精索静脈瘤を瘀血とみなして用いるグレードにかかわらず第一選択となります。原則的として、サプリメントも併用します
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
  • 上記による治療効果(精液所見の改善)が乏しい場合に処方します

費用(税込)

初診時検査費用
男性不妊初診セット
(初診料、診察料含む)
44,000円
  • 別途結果説明時の診察料がかかります
初診料5,500円
診察料5,500円
院外処方箋料2,200円

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