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男性不妊治療ガイド Infertility Treatment Guide

2023.07.05

良い精子を増やすために有効な方法は?

精子を増やす方法

「精子の状態を良くしたい」——その想いでこのページを開いた方へ。

精子は、生活習慣や治療によって改善できる可能性があります
大切なのは、ご自身の状態に合った方法を選ぶこと。ここでは、精子濃度のレベル別に有効なアプローチを解説します。

精子の改善は「90日のプロジェクト」です

精子が作られてから射精されるまで、約70〜80日かかります。
つまり、今日始めた生活改善やサプリメントの効果が数値に現れるのは、約3ヶ月後
この90日間をどう過ごすかが、ご夫婦の未来を左右します。焦らず、しかし確実に、正しい方向へ進むことが大切です。

まず、ご自身の状態を確認しましょう

以下の表で、ご自身の精子濃度がどのレベルに該当するかを確認し、該当するセクションをお読みください。

精子濃度 状態の目安 主なアプローチ
4,000万〜5,000万/ml以上 自然妊娠の理想ライン 生活習慣の維持+「質」の確認
1,600万〜2,000万/ml WHO基準の下限値付近 生活習慣+サプリメント
500万〜1,600万/ml 自然妊娠の確率が低下する段階 生活習慣+サプリメント+手術検討
500万/ml以下 早期の専門的介入が推奨される段階 手術+高度生殖医療の検討
0(精子が確認できない場合) 無精子症 精密検査+専門治療

精子濃度 500万〜2,000万/mlの方へ:4つの改善アプローチ

この範囲の方は、以下の4つのアプローチを組み合わせることで、改善が期待できます。
※精子改善の最優先事項は「酸化ストレスの除去」です。酸化ストレスは精子のDNAを損傷し、受精能力を低下させる最大の要因とされています。

1. 生活習慣の改善

精子は熱に弱く、血流や酸化ストレスの影響を受けやすい細胞です。以下の習慣を見直すことで、精子の質・量の改善が期待できます。

【避けるべきこと】

【取り入れるべきこと】

2. 食生活の改善

精子の材料となる栄養素を積極的に摂取し、酸化ストレスを増やす食品を避けることが重要です。

【避けるべき食品】

【積極的に摂るべき栄養素】

3. 薬物療法・サプリメント

生活習慣の改善に加え、分子生物学的なアプローチで精子の状態を改善できる場合があります。

【薬物療法】
男性ホルモンや下垂体ホルモンが低下している場合、クロミッド等のホルモン剤の服用により精子濃度が改善する可能性があります。ホルモン値の検査を行った上で、必要に応じて処方します。

【漢方】
精子を直接改善する漢方は限られますが、心身のバランスを整える目的で処方することがあります。
→ 男性不妊漢方外来について

【サプリメント】
以下の成分は、精子の質を改善するエビデンス(科学的根拠)が多数報告されています。

成分 分子生物学的な作用
還元型コエンザイムQ10 精子のエネルギー源であるミトコンドリアを活性化し、酸化ストレスからDNAを保護
L-カルニチン 精子の成熟過程で必要なエネルギー代謝を促進し、運動率を向上
セレン 抗酸化酵素の構成成分として、精子の形態・運動率を改善
ビタミンB12 DNA合成に関与し、精子濃度・運動率を改善

⚠ 注意:サプリメント選びについて

市販のサプリメントの中には、成分含有量・原材料・製造管理が不明確な製品が少なくありません。

当院の臨床現場では、品質が不明確なマカ配合サプリメントを服用した後に、精子濃度・運動率などの精液所見が悪化した症例を多数確認しています。

精子は非常に繊細な細胞です。サプリメントを選ぶ際は、成分・製造元・品質管理が明確な製品を選ぶことが重要です。
自己判断での摂取には注意が必要です。

当院では、医師が開発・選定したエビデンスに基づく高品質なサプリメントを処方しています。
→ 当院推奨サプリメント『AQ10』

4. 精索静脈瘤手術(日帰り手術)

精索静脈瘤は、男性不妊の原因として最も多い疾患です。
精子の状態に問題がある方のうち、約4割に精索静脈瘤が見つかるとされています。

精索静脈瘤とは
精巣から心臓へ血液を戻す静脈に逆流が起こり、精巣周囲の血管が瘤(こぶ)のように腫れる疾患です。精巣の温度が上昇し、酸化ストレスが増加することで、精子の産生に悪影響を及ぼします。

重要なのは、多くの場合「自覚症状がない」ということです。
痛みや違和感がないため、検査を受けなければ気づかないまま進行します。精索静脈瘤は進行性の疾患であり、早期発見・治療が重要です。
→ まずはセルフチェックで確認する

生活改善だけでは改善しない場合
精索静脈瘤などの器質的疾患がある場合、生活習慣の改善だけでは効果が限定的です。努力を続けている間にも時間は過ぎていきます。専門医による検査で、原因を正確に特定することが、最短の改善への道です。

【手術の適応】

手術後も改善が見られない場合は、人工授精や体外受精へのステップアップを検討します。
→ 精索静脈瘤手術について詳しく見る

精子濃度 500万/ml以下の方へ

この範囲でも、諦める必要はありません。

独力での改善が難しい段階です。一日も早く、専門医による精密検査を受けることをお勧めします。
→ 精索静脈瘤のセルフチェック

精子が確認できない場合(無精子症)

あまり知られていませんが、男性の約100人に1人は無精子症と言われています。
決して珍しい状態ではなく、原因を正しく調べることで治療の道が見えてくるケースも少なくありません。

当院では、プロタミン染色という独自の技術を用いて、精子が本当に作られていないかを精密に診断します。
→ 無精子症外来について詳しく見る

まとめ:精子改善のための3つのポイント

その「改善」は正しい方向に向かっていますか?

良かれと思って続けている習慣が、実は逆効果であるケースも少なくありません。
当院では、検査データに基づいた「あなたのための精子改善プラン」を作成します。

精子検査メニューを見る

監修医師からのメッセージ

受精能力のある精子——つまり「卵子の相手がつとまる精子」は、射精された精子全体のほんの一握りです。土の中の砂金のようなものです。

「精子がたくさんいれば、どれかが卵子にたどり着くだろう」と思いがちですが、実際は違います。「一握りのエリート精子を送り出すために、大量の精子を用意している」というのが正しい理解です。

卵子は、高いクオリティの赤ちゃんをこの世にもたらすために、妥協のない精子選別を体内で行っています。だからこそ、妊娠は奇跡的な現象なのです。

男性不妊に対する正しい知識を身につけ、早期の妊娠を目指しましょう。

中條 弘隆

エス・セットクリニック院長
中條 弘隆
日本泌尿器科学会専門医
延べ8,000人以上の
男性不妊診療に従事

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