都営新宿線岩本町駅A6出口徒歩10秒
秋葉原駅昭和通り口徒歩4分
赤ちゃんが欲しいけれど、なかなか授からない・・・というご夫婦は多いかと思います。
不妊の原因は、男性と女性で半分ずつ原因があります。つまり、男性にも原因があるということです。
男性に原因がある状態を『男性不妊』といいます。
「自分には関係ない・・・」と思う方が多いかもしれませんが、不妊治療は夫婦の協力が必要です。
男性不妊には自覚症状がありませんので、できるだけ早く赤ちゃんを授かりたいというご夫婦は、妊娠するに当たっての基本的な知識を知っておく必要があります。
上の写真は、高精度精子検査の『先体反応誘起能(精子が卵に侵入する力)』検査の写真です。体外受精では、精子の運動性に加えて『先体の機能』が重要になります。
精子検査のフルコース『高精度精子検査Bコース』へ
一般的には、気恥ずかしさ等から精子検査は後回しにされがちですが、精子の状態を正確に知ることで、現時点でどの不妊治療を進めるのが良いかをある程度見通すことができます。
男性側に問題があることがわかっていれば、まずは男性不妊要因を解決することで、時には奥様に痛みを伴う余計な検査や治療を回避することができるのです。ご主人が率先して検査を受けることが、ご夫婦に最適な治療計画を組むための助けになります。
また、高額な治療である体外受精等を受ける前に、精子の精密検査を行うことで、治療がうまくいく見込みがどの程度あるのかがわかるので、できるだけ少ない回数で体外受精等を成功させたいご夫婦にはおすすめします。
上の写真の白く光っている部分は、精子の頭部と尾部をつなぐ中片部(ちゅうへんぶ)と言います。精子のエネルギー産生にかかわる『ミトコンドリア』という器官が入っており、高精度精子検査では、この中片部を染色してその機能と形態を調べます。
精子を検査する方法は、「自宅で出来るもの」「病院でするもの」とがあります。 どちらも、射精したご自身の精液を、検査技師が顕微鏡を使って検査をします。一部のレディースクリニック等では、検査技師ではなく、機械によって検査するところもあります。
精子を検査する場合、まずは「精液の量」を測ります。その後、顕微鏡で「精子の数」「精子の運動量」を測定します。精子を染色して、「精子の形(正常形態率)」を観察します。すべての検査工程は、精子検査を専門とする臨床検査技師が担当します。
「精子の量」「精子の数」が多いと、妊娠する力のある精子も多いように思われがちですが、実のところはそうとは言えません。逆に精子の数が少なくても、質の良い精子が多い場合もあります。
一般的には、「精液の量」「精子の数」「運動率」「正常形態率」のすべての項目で正常値を上回っているほうが、妊娠する確率が上がります。自然妊娠を目指す場合には、まずはこれらの検査指標をベースに治療するので十分でしょう。
しかし、体外受精や顕微授精を検討する段階になると、ご自身の精液の中に、正常な妊娠を見込める良質な精子がいったいどのくらいいるのかを高精度精子検査で把握し、『私たち夫婦は、この治療により、どのくらい妊娠する可能性があるのか』を確認することが大切です。
妊娠させる力があるか?
精子の検査では、「妊娠しやすい精子の状態」であるか?を判定します。
精子には、健康状態というものがあります。 健康な精子、優秀な精子は「精液の量」「精子の数」「精子の運動率」「精子の形」がある一定の基準を超えています。
検査は、医師や検査技師が顕微鏡や電子顕微鏡を使い、目で見て「精子の状態」をチェックします。
精子は「形」も大事であり、形の悪い精子は、正常な妊娠をさせる能力が失われているので注意が必要です。
しかしながら、クリニックや病院によっては、精子検査を機械まかせや検査会社に外注にしているところが多いのも事実です。
何度も病院やクリニックに通って妊娠しない場合、その施設の精子検査の体制についても疑問を持つのもよいかと思います。
では、健康な精子とは、どのような精子の事をいうのでしょうか?健康な精子は運動率が高く、形もきれいです。そして、数値がある一定の基準をこえています。
元気で健康な精子の定義はWHO(世界保健機関)で以下のように決まっています。
・精液量1.4ml以上
・精子濃度1600万匹/ml以上
・総精子数3900万匹以上
・運動率42%以上
・正常形態率4%以上(奇形率96%未満)
上記の項目をすべて上回ることが、「健康な精子」 の条件になります。
精子の検査は、2回以上受けることが大事です。下の図を見てください。ある男性が、120週連続で精子検査をした結果をまとめたものです。
縦軸には、精子の数、横の軸は日にちを表しています。
同じ人でも、体調の違いなどにより、これだけ精子の数に変動があります。驚くべき点は、7回は正常値を下回っていることです。
精子の検査は2回以上受けることが理想的です。
WHOが定義している「正常な精子」は
・精液量1.4ml以上
・精子濃度1600万匹/ml以上
・総精子数3900万匹以上
・運動率42%以上
・正常形態率4%以上(奇形率96%未満)
となっています。しかし、この基準は気をつけなければいけません。これは、妊娠をするための、精子の「最低基準」なのです。最低基準なので、この基準値以上であった方がいいのは、言うまでもありません。つまり、WHOの基準だからといって、「妊娠させる力のある優秀な精子」というわけではありません。
男性不妊の専門医が、自然妊娠を望む場合の検査結果水準は、「精子濃度 5000万/ml以上」「精子運動率55%以上」といわれているようです。WHOの水準よりもかなり高めの数値であることがわかります。
優秀なエリート精子を見極めるには?
1匹の精子を卵子に注入する顕微授精を行っているご夫婦は、1匹の良い精子を選んでもらう必要があります。通常だと頭部が楕円形をして、元気に泳いでいる精子を選びます。ところがそのような見た目の良い精子にもさまざまな異常が潜んでいることがあり、まず精子の精密検査を行い、『精子の実力』を十分に把握した上で治療を検討することをお勧めしています。
精子の検査は日々進化しています。エス・セットクリニックでは、様々な精子の異常の中から選んだ検査項目はこれから説明する4つの精密検査になります。
上記の緑色の糸は何かというと、これは精子のDNAを引きのばして緑色に染めたものです。あの小さな精子の頭にたくさんのDNAがたたみ込まれて収納されています。
射精して出てくる前に精子のDNAが酸化ストレスなどによって傷がつきます。もしDNAに傷があると、胚の発生停止や時には流産をしてしまうことがあります。
エス・セットクリニックの研究では、動いていない精子のほとんどはDNAがひどく損傷していることが判明しました。このような精子は顕微鏡で見ることで外すことができます。
問題なのは上記の右の写真のように、元気な精子の中にもDNAに数か所の傷があるものが混ざっていることです。
当クリニックでは、通常の体外受精や顕微授精に使用できるレベルにまで選別した運動精子をスライドグラスに貼り付け、精子のDNAが損傷している度合いを分析します。精子のDNAが損傷していない割合(陰性率)が60%以上が体外受精を推奨できる最低ライン、80%以上が合格レベルとしています。
高額な体外受精にステップアップして勝算があるのかについては、この精子のDNA損傷の程度をチェックすることをお勧めしています。
精子検査のフルコース『高精度精子検査Bコース』へ
精子は下記のような構造になっています。「先体」「核」「べん毛」など聞きなれない言葉が多いかもしれません。
精子の頭の部分と尻尾の部分をつなぐ首のような部位を『中片(ちゅうへん)』といいます、この部分には、精子のエネルギー産生にかかわる「ミトコンドリア」という器官があります。簡単に言うと、このミトコンドリアが動いてエネルギーを生みだし、精子は前に進むことができます。
精子は膣内から卵管を通って卵にたどり着きます。この前に進むエネルギーが「ミトコンドリア」によって大きく左右されます。精子が、卵に侵入した後に、12時間程度かけて受精卵になるまでの力にも影響しているといわれています。
この「ミトコンドリア」を染色して、精子の中片の機能と形態を調べます。
左が中片にミトコンドリアが整然と並ぶ正常な形態です。右は異常な形態の中片です。
卵に突入する力があるか?
先体(せんたい)は、精子の頭部の前半分を覆っている袋状の器官です。この袋の中に、精子が受精する際に卵子表面の膜を溶かすための酵素が入っています。
エス・セットクリニックの先体局在検査では、通常の体外受精や顕微授精に使用できるレベルにまで選別した運動精子の何%に先体反応がついているかを調べます。さらに培養液中で、どのくらいの精子が卵子に侵入することができるかについても確認します。
精子濃度(精子数)や運動率に問題がなくても、卵子に突入する能力(先体反応)が低い場合があります。精子が自力で卵子に侵入する体外受精では、運動性に加えて、先体の機能が不可欠になります。
精子の凍結保存は、体外受精等における最重要課題
この検査では、通常の体外受精や顕微授精に使用できるレベルにまで選別した運動精子が、マイナス200℃の凍結保存の後に、どの程度生き返ってくるかを調べます。
解凍後に10%程度の耐凍性がある場合には、凍結精子を用いた体外受精も選択肢に増やすことができます。耐凍性がない場合には、奥様の採卵当日の朝に、ご主人に採精をしに来ていただき、2時間程度の選別作業後、レディースクリニックへ持ち込むことになります。
1匹の精子の選び方はとても大切
精子数が多くても、実は妊娠させる力のある良好な精子が少ないことがあります。一つの精子を選ぶ顕微授精の場合、なかなか良い精子に当たらないことで妊娠に至らないケースがみられます。
下の左の図は、射精した源精液の状態ですがたくさんの精子が確認できます。右の図は、エスセットの選別技術で良好精子に選別した後の図です。精子数に問題がないと言われていたが、実際は良い精子が非常に少なかった例です。
検査を受けた後「精子が少ないですね・・・」と言われてもあきらめる必要はありません。精子数が極端に少なく治療をあきらめようと思っていた方が、エスセットで選別してみると本当に選りすぐりの良い精子が残り、そちらを使ってうまく妊娠する例もあります。
特に「顕微授精」を行う場合は、良質な精子を選別することがとても大切です。
顕微授精で精子を選ぶ場合、いまでも、「見た目と動き」だけで精子を選んでいるクリニックもあります。
エス・セットクリニックでは、なかなか体外受精や顕微授精がうまくいかないご夫婦には、DNAの損傷がある精子など、正常な妊娠が望めない精子群を極力排除し、その結果として、良好な精子が十分に確保できてから、採卵に進むことをお勧めすることあります。
精液を「密度勾配担体」に層積、遠心分離、沈澱した精子を回収し、沈降平衡法、沈降速度差遠心分離法などを組み合わせ、独自ノウハウによる工程を経て精漿、ウィルス、細菌等を除去し、DNA損傷精子等、正常な受精に結びつかない精子を排除します。
このような工程で分離して残った良好精子を、高精度精子検査Bコースであらかじめ検査をし、ご主人の「精子の実力」を評価しておきます。その上で、精子を選別して、採卵に備えて凍結保存しておくのです。
体外受精や顕微授精を行う場合も、これらの選抜した精子群をレディースクリニックの培養士に取り扱ってもらう方が成功率が高まるようです。
精子の検査もいろいろな方法があることが分かっていただけたかと思います。
精子はWHOの最低基準で検査結果をみただけでは、本当に妊娠させる力があるのか?がわかりません。
より効率的に、少ない治療で妊娠を目指すのであれば、高度な検査や精子の選別方法を受けた方がいいことが分かっていただけたかと思います。
ぜひ、精子についてなども合わせて勉強していただくと良いかと思います。