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晩婚化に伴って、妊活を始めるときには卵巣機能が低下して妊娠しづらくなり体外受精を選択されるご夫婦は年々増加している傾向にあります。
「とにかく子供がほしい」と思っているご夫婦も多いかと思いますが、生まれてくる子供の健康について最優先に考える必要があります。 体外受精には様々なリスクや、未解決の問題点もありますので、下記の情報を良くお読みいただいて、メリットとデメリットのバランスをご自身の状況に合わせて考えて決断するようにしていただければと思います。
体外受精は、タイミング療法や人工授精を何回か行ってうまくいかない場合や卵管性の不妊等、体外受精でしか妊娠できないと判断された場合に検討されます。また重度の男性不妊症の場合にも体外受精が推奨される場合があります。
体外受精は、体外に取り出した卵子に選別された無菌の精子をふりかけて、精子が自力で卵子に侵入して受精させる方法です。 受精した受精卵は、一定期間培養したあとに、子宮に戻します。
体外受精は1983年に日本で開始された比較的新しい治療です。治療が始まって35年を経過しているので、ほとんど確立された治療であり、もともとは卵管性不妊症を対象に始まりましたが、徐々に適応が拡大されました。以降、人工授精をしてもなかなか妊娠しなかったご夫婦には大変な福音となっています。
日本産婦人科学会の調べた統計によると、1989年から2014年の25年間に日本で体外受精によって生まれた子供たちは120,565人になりました。
体外受精が、不妊症に悩むご夫婦へもたらした価値は計り知れないくらい大きいものがあります。これまで卵管性不妊症や重症の男性不妊、原因不明不妊の患者さんはなかなか子供を授かることができず、大変な苦労をされてきましたが、体外受精等のART(生殖補助医療)によって妊娠出産に至ることができるようになったのです。
体外受精は顕微授精と比較されることが多いですが、顕微授精に比べていくつかメリットがあります。
顕微授精は一匹の精子を選んで卵に直接針を刺すため、卵子がその刺激に耐えられず、膜が破れて変性してしまう可能性があります。体外受精の場合は、精子が自力で卵子に侵入します。そのため、顕微授精のように卵子が壊れるリスクはまずなく、より自然に近い状態で受精をします。
また、精子は卵に侵入し12時間程度かけて受精しますが、その過程で傷がついた精子のDNAが卵子がもっているDNA修復酵素によってわずかにですが修復されると言われています。生殖補助医療は、人工的な技術を加えるほど異常が起こりやすく、なるべく自然に近い方法をとったほうが安全なのです。
一方で多胎妊娠、流産や早産の増加、体外受精で生まれた子供は高血圧リスクが高い可能性が示唆されたり、(Meister TA, et al. J Am Coll Cardiol. 2018; 72: 1267-1274. )、体外受精児の長期予後などについては様々な問題が報告されています。また、代理懐胎など倫理的問題が多く残されています。
金銭面でも、人工授精などに比べて、自費診療となるため高額になります(2022年4月より条件を満たせば体外受精は保険適応となりました)。体外受精をする場合、20~80万くらいが一回当たりの目安の費用になります。
金額的な負担は、一般的なサラリーマンでは、夫の収入だけで治療を受けるのは厳しく、夫婦で働きながら治療を受ける方も多くいます。一度の体外受精で妊娠すればいいのですが、年齢によっては何度か治療を受ける必要がある方がほとんどです。
さらに「排卵誘発剤」の注射を毎日受けたり、麻酔をかけて採卵を行います。
通院回数が増え、注射の回数が多くなると、「こんなに大変なのに妊娠ができない・・・」「妊娠する保障がない・・・」と感じるため、精神的にしんどくなってきます。
体外受精をする場合は、「精子の質」がとても大事になります。質の良い精子選別した上で、ふりかけると、正常な妊娠をする確率を大きく上げることができる可能性があります。ここで大事なのは、体外受精を行う前に、精子の精密検査を受け、「精子の質」を正確に把握しておくことです。一般的な精子の検査で、精子の数、運動率とも良好であり、外見的には健康な精子に見えても、精子頭部の精査をしてみると精子のDNAに損傷があったり、卵子に突入する際に起こす先体反応誘起能に問題がある以上精子であることもあるのです。
体外受精は非常に高額な治療になるため、ご自身の精液の中に、正常な妊娠を見込める良質な精子がいったいどのくらいいるのかを高精度精子検査で把握し、『私たち夫婦は、この治療により、どのくらい妊娠する可能性があるのか』を確認することが大切です。
体外受精を考えている方は、ぜひ「よい精子とは?」について勉強をしていただけると良いと思います。